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2016年IWC/日本共同北太平洋鯨類目視調査の実施について
−IWC-POWER調査航海:調査船の出港−


2016年7月1日
一般財団法人 日本鯨類研究所


1. 経緯

本調査はIWC(国際捕鯨委員会)と我が国が共同で実施しているもので、IWCでは通称POWER(Pacific Ocean Whale and Ecosystem Research)と呼ばれています。 この調査は2009年度まで南極海で行われていた成功例として世界的に高い評価を得ているIWCの調査計画IWC/SOWER(International Whaling Commission-Southern Ocean Whale and Ecosystem Research:南大洋鯨類生態系調査、1996/97年度〜2009/2010年度)での経験と実績を踏まえ、そのノウハウ等を活用して、IWC科学委員会の主要研究課題に則って、2010年度より実施されています。

これまでの調査では、過去数十年にわたって広域的調査が実施されてこなかった北緯20度以北の太平洋沖合海域において、多数のナガスクジラ、イワシクジラ、ニタリクジラが発見され、客観的な資源評価に貢献する貴重なデータが収集されました。 今回は、その第7回目の調査航海として、昨年までの海域のさらに東側である、北緯20度から同30度、西経160度から同135度までを対象としています。 商業捕鯨が一時的に停止されて以降、ほとんど調査が行われていない太平洋沖合海域において大型鯨類の発見がどの程度あるのかについて、世界中の鯨類研究者から注目されています。


2.調査計画の概要

本件目視調査は、国際捕鯨委員会(IWC)と日本国政府の共同調査としてIWC科学委員会がその計画の策定を行い、同委員会内に設置されたPOWER運営グループ(コンビーナ:東京海洋大学加藤秀弘教授)が計画の立案と結果の分析を主導します。 また、(一財)日本鯨類研究所が水産庁から委託を受け、調査航海を実施します。本年の調査計画の概要は以下のとおりです。


2.1 主要調査目的:

(1) 北太平洋におけるニタリクジラ、イワシクジラ、ナガスクジラ及びその他の鯨種の資源量推定

(2) 北太平洋におけるニタリクジラ、イワシクジラ、ナガスクジラ、ザトウクジラ及びマッコウクジラ(及びその他の鯨種)の系群構造に関する情報の収集(特にバイオプシー・サンプル採集と個体識別写真の取得)

(3) 北太平洋セミクジラ、シロナガスクジラ等希少鯨種のバイオプシー・サンプル採取と個体識別写真の取得


2.2 調査期間:

2016年7月2日−8月30日(60日間)


2.3. 調査海域:

北緯20度以北、北緯30度以南、西経160度以東-西経135度以西(公海および米国EEZ)

調査海域図

図1.2016年の調査海域。


2.4. 国際調査員:

IWC科学委員会が指名した下記4名の国際調査員によって調査が行われます。
松岡耕二;日本・調査団長・(一財)日本鯨類研究所
Jim Gilpatrick;米国・NOAA/SWFSC
Ji Hye Kim;韓国・CRI/IWC選任国際調査員
吉村 勇;日本・IWC選任国際調査員


2.5. 調査船 :

第三勇新丸(742トン、(株)共同船舶所属、江口浩司船長以下17名)


2.6. 実施機関 :

(一財)日本鯨類研究所


写真:2015年度調査の様子

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(左から)洋上での集合写真(最東端のポイントにて、乗組員とIWC調査員並びに関係者)  ニタリクジラの背部と背びれ(親子)  実験中に船に寄って来たマッコウクジラの子供  ブリーチングするニタリクジラ  ラーセンガンによるバイオプシーサンプリング風景(ニタリクジラ親子)


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